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第4回 Octopus Hold 1 おーい!行雲流水の仲間たち y・前回対談したのが、えーと... 藤野・7月です。 t・まとめてあげたのが7月、夏前じゃないですかっ! y・もうちょいさくさくアップしたいのは山々なんですが。この夏は楽しい思い出作り(※1)にいそしみすぎまして、色々滞っております...。まあ、あまりお約束はせずに(笑い)。 -------------------------------- ※1 楽しい思い出作り -------------------------------- さて、今回は「esquisse 3/3」収録の行雲流水のナンバー、「octopus hold」という曲をめぐってお話していきたいと思います。本来ですと、まずこの曲の譜面をベースにして高橋さんに解説をお願いするというところから始めるのが、具体的でわかりやすい進行なのだとは思うのですが、前回同様、はじめに行雲流水というグループについてメタレベルでの御意見をいただきたいのです。というのはね、行雲流水の在り方って独特だと思うんですよ。音楽的なことだけじゃなくて、シーンにおける立ち位置みたいなものも含めてですね。やはり彼らの個性をはっきりさせることをせずに、その活動報告を自明のこととして、スムーズに始めてしまうと、見落とすところが色々出てきてしまうのではないかということで。この前の対談で、行雲流水が図形楽譜を使うグループであるということがまず挙げられて、しかしこれは手段に過ぎないのであると。ではどんな音楽を目指しているのか、という目的を問う質問にも高橋さんは明言を避けられたと。むしろ、できあがった音楽の形を想定せずに演奏を楽しめないかということを言われてました。その中で、これが一つのキーワードになるのかな、高橋さんは音楽という以前にゲームをして遊ぼうという発想があるのだ、と言われた。 t・ええ。 y・図形楽譜の使用はゲームのルール作りに有用な手段であるというのが、一つの結論でしたね。前々回の対談からちょっと間が空いてしまったということもありまして、もう一度ここで、高橋さんの方から行雲流水とは何者で、どんなことをやっているグループなのかというのを説明してみてもらいたいのですが。 t・簡潔に言いますと、まず取っ掛かりになるアイデアというものを私が出します。本来なら別の誰かがアイデアを持ち込んできてくれても、組織立てとしては一向に構わないのですが、これはまあ、慣習化しておりまして、そのことに疑問は抱いておりません。 しかし、私個人が持ち込んだアイデアをいざ実践すると、皆の間に大きく言えばトラブルや、小さくは認識のズレというもの(往々にしてコトの大小は逆です)が常に起きます。ただし、それらを(ルール作りに)積極的に取り入れていくことで、もともとのルール作りが私個人に発することを超えていきます。よって、そのゲーム自体が御破算になるようなことはなく、いつでも変化していける、よりフレキシブルでタフなものになるという確信があるので、安心して骨組というか、たたき台を作って持っていってます。というわけで、皆で音楽をやるという大前提、と言うか目標なのかな、これは十分に”ある”ということになります。つまり、皆で音を出してみないことには、実際にどういう形になるのか、ちっともわからないので、やる意味がある、という事でしょうか。僕がどんなに机上で理路整然と作っていたとしても、実際そこに様々な人が関わってどんな音になるのかは現場でしかわからないし、そもそも自分の頭の中にある音を完全に再現したいなどではなく、皆でやってみないと始まらないから、やる、わからないから、やる、と言うスタンスです。なので、前回の対談でもちょっと出ましたけれど、それが人を楽しませることができるのかについては依然不明瞭なままですね。 y・そうおっしゃってましたね。 t・ただ、自分たちのやっていることを自分たちは楽しめているので、こういったものの楽しみ方があるのだな、ということをわかっていただければ、これらの面白さみたいなものも伝わるのではないかという期待はあります。わからないからやってみようという発想、目的と手段がないまぜになっているやり方と言うんですかね、自分たちが奏でたい音ありきではなくて、自分たちがこんなことをしたらどうなるのかを聴いてみたい。そのたたき台は高橋が持っていく。いつもそんな形でしたね。 y・音楽にまつわる様々なアイデアというものは、前提としてある。それはリーダーである高橋さん個人の中に。出発点はそこであると。そしてこのアイデアを、集団として、ゲーム仕立てで実現していこうというグループである、ということで理解しておいていいわけですね。 t・と思います。ゲームなので、ルールがある程度固まれば、誰が入っても大丈夫だし。 y・と言うことですね。まあ、それであえて申し上げたいのは、今、言われた集団の定義というのは、世の中では非常に稀な存在であるという事ですね。音楽集団であると限定してみればなおさらありがたい立ち位置を獲得していると考えますが。まあ、これ以上強調しないほうがいいのかな(笑い)。 t・そうですね。付き合わされるというと何ですが、実際に音を奏でてくれるメンバーたち、それからその現場に居合わせるお客様たちも、何が飛び出すかわからない状態を共有するということなので、予めこんなことになるということがわからない状態を楽しんでいただかないといけないという事はありますね。 y・なるほど。ところでね、音響派(※2)の人達との関わりみたいなものは意識します?音響派とは誰だ、という議論なしにこんな話できないのかもしれませんが、でもできちゃうんですね(笑い)。シンパシー感じたりする人とかいます?あと、シーンに対する目配せとかしてますか? t・シーンそのものに関する知識と目配せと、正直あまりわからないですね。音響派というものも大きくシーンのひとつとしてまとめてみても、どこまでがその範疇に当てはまるのかというのもやはりわからなくて...。 y・あ、いやいや定義はもちろん、するんだったらきちっとしなければいけないんですが、もっと大ざっぱな話ですよ。活動する主体としてはね、一人よりは二人、二人よりは...っていうのがあるでしょ。 t・この人達となら(共有すべきものがある)、という固有名は、今すぐ上がってこないですね。自分が共感を得られるのは、ワールドミュージックというのか、各地に散らばる伝統音楽の継承者達、どの地域とは申しませんが、プリミティブな、トライバルな色が強い彼らの活動(※3)に、発想のシンプルさが似ているのかなと。出てくる音はね、ずいぶん異なったりもしますけど、でも、きっとこれって、我々がやりたいようなすごくベーシックなルールに基づいて、音楽の深いところを引きだそうとしている試みだなと思うところは多々ありますね。同時代に同一地点で動いている人というと、ちょっと考えないとなあ... -------------------------------- ※3 ![]() トライバルな色が強い彼らの活動 -------------------------------- y・そうね。あの、一般的に理解しうる音楽的な要素というものがあるでしょ。リズムだとか、メロディーだとか。そうした要素に、乗りずらいわけですよね、行雲流水は。 t・まあ、ねぇ。 y・少なくとも自明のこととしてそうした要素を使って音楽しているわけではないと。最終的にそこに集約されてしまうということはあっても。で、そういうふうにして音にまつわる活動をしている人達が、他にもたくさんいるわけですね、特に東京には。 t・あー、ホントですか? y・いるじゃないですかたくさん、音響派と言われる人達が。楽音ということを無視して音を扱うという、まあ、アートなんでしょうかね。そういうものに従事する人たちが。 t・まあ、いるんでしょうけど、あまりシンパシーを感じないな...。 y・そうなんですね。どうしてなんでしょうかね。 t・柳川さんの言わんとしているところは察せられるのですけどね、行雲流水が彼らと近いところにいるとは思えないんですね。 y・思えないんですね。どうしてでしょうか。孤独が好きなんでしょうか? t・いやいや(笑い)。そうですね、それではあえてということで、ここは一つ大先輩でもあられる、マヘル・シャラル・ハシュ・バズ(※4)の名前を上げておいてもいいかもしれませんね。出してる音はまったく違うんですが(マヘル・シャラル・ハシュ・バズと行雲流水では)、一度、工藤さんらに御参加いただいたときに、勝手な思い込みかもしれませんが、深いところでは通じ合えるものがあるのではないかと思いました。というのは、一見さんには取っつきにくかろう我々の譜面を、はい、と渡した瞬間と言ってもいいぐらい尋常じゃない呑み込みの早さでもって、こなされてですね、 -------------------------------- ※4 ![]() マヘル・シャラル・ハシュ・バズ -------------------------------- y・あー、一緒にプレイしてもらったことがあるんですね。 t・そう。アルバム(※5)にも収録されている、とあるライブの時なんですが、ずっとこのようなこと(行雲流水的な音楽のアプローチ)をしてきた方なのではないかというぐらい、もう演奏直前ギリギリの簡単な説明だけで、その理解が音に現れてましたね。驚いたわけです、非常に。 -------------------------------- ※5 ![]() アルバム -------------------------------- y・活動の周辺状況というのは、常にアクティブであって良いはずなので、その方たちと共にイベントを打つというようなことがあっても、間違いではないんでしょ?高橋さん的には。 t・と思いますが、むしろマヘルのファンの方々が行雲流水をどう聞いてくれるかということにもっとも興味がありますね。恐らく半分ぐらいの方がギョッとされるのではないかと思ったりもしますが(笑い)。それだけでもイベントを打つ意味はあるかな。 y・どうですかね。そんなにビビッドな反応があり得るものなのかは疑問ですが。今や音楽を聴いたり演奏したりするうえでイデオロギー的な対立など起きようもないはずですからね。それがいいことかどうかはともかく、つるめるところではつるんでみて、改めて差異を確認するというふうにしていったほうが面白いんじゃないかと思います。まあ、いいか。いずれにしても、ここでマヘルと言う名前が上がったという事でですね、その方たちはあれでしょ、評価高いんでしょ?ビッグ・マイナーというか、リトル・メジャーというか。 t・そうです。 y・それでこの対談を読んで下さってる方たちにね、行雲流水を認知するためのキーワードが一つできたということになれば、ありがたいんですがね。名前をお借りしてね。 t・ハハハ。 1 >> 2 >> 3 >> 4 |